新宿オークタワー歯科クリニックです。
妊娠中に歯ぐきが腫れたり、歯磨きのたびに出血したりといったお口のトラブルに直面し、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。妊娠という特別な時期に、なぜお口の状態が悪くなりやすいのか、そしてその状態がお腹の赤ちゃんにどのような影響を与える可能性があるのかについて、明確な根拠に基づいた情報をお探しではないでしょうか。
この記事では、妊娠中に歯周病のリスクが高まる具体的な理由から、それが引き起こす「妊娠性歯肉炎」の症状、さらには早産や低体重児出産といった赤ちゃんへの深刻な影響までを詳しく解説します。さらに、妊娠中でも安心して実践できる効果的な予防法やセルフケア、そして「妊娠中に歯医者さんに行っても大丈夫なの?」という疑問にお答えする安全な歯科治療の時期と方法についてもご紹介します。
この情報を通じて、皆様が抱える不安を解消し、ご自身と赤ちゃんの健康を守るために何ができるのかを理解することで、安心してマタニティライフを過ごすための具体的な知識と自信を得られることを願っています。
妊娠中は要注意!歯周病リスクが高まる3つの理由
妊娠中は、お母さんの身体にさまざまな変化が起こります。その中でも、お口の環境は特にデリケートになり、歯周病にかかりやすくなることが知られています。このセクションでは、なぜ妊娠中に歯周病のリスクが高まるのかを3つの主な理由に分けて詳しく解説します。妊娠という特別な時期に、お口のケアがなぜ一層重要になるのか、その背景を理解することで、安心してマタニティライフを送るための一歩となるでしょう。
理由1:女性ホルモンの変化で歯周病菌が活発に
妊娠中に歯周病リスクが高まる最も大きな要因の一つが、女性ホルモンの劇的な変化です。特に「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2種類のホルモンの分泌量が増加することで、お口の中の環境が歯周病菌にとって非常に住みやすい状態へと変化してしまうのです。
エストロゲンが増えると、「プレボテラ・インターメディア」という特定の歯周病菌の増殖が活発になります。この菌はエストロゲンを栄養源として利用するため、妊娠中は爆発的に増えやすくなります。また、プロゲステロンが増加すると、歯ぐきを構成する細胞が刺激され、炎症を起こしやすくなります。これにより、歯ぐきが赤く腫れたり、少しの刺激で出血しやすくなったりといった症状が現れやすくなるのです。
このように、女性ホルモンの変化は、歯周病菌の増殖を促すだけでなく、歯ぐき自体の炎症反応も高めてしまうため、妊娠中は普段以上に歯周病になりやすい状態にあると言えます。
理由2:つわりによる歯磨き不足や食生活の変化
妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する「つわり」も、お口の健康を損なう大きな原因となります。つわりによる吐き気で、歯ブラシを口に入れること自体が苦痛に感じられたり、歯磨き粉の匂いで気分が悪くなったりすることがよくあります。その結果、十分に歯磨きができない状態が続き、お口の中にプラーク(歯垢)が溜まりやすくなってしまうのです。
また、つわり中は一度にたくさんの食事を摂ることが難しいため、食事の回数が増える「食べづわり」を経験する方も少なくありません。さらに、酸っぱいものや甘いものを好むようになるなど、食生活が変化することも一般的です。食事や間食の回数が増えたり、糖分を多く含む食品を摂る機会が増えたりすると、お口の中が酸性に傾きやすくなり、虫歯だけでなく歯周病のリスクも高まってしまいます。
このように、つわりは直接的に歯磨きを困難にするだけでなく、食生活の変化を通じて、お口の環境を悪化させ、歯周病のリスクを高める要因となるのです。
理由3:唾液の量が減り、口の中の自浄作用が低下
私たちの唾液には、食べカスを洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりする「自浄作用」や「抗菌作用」といった大切な役割があります。しかし、妊娠中はホルモンバランスの変化によって唾液の分泌量が減少し、さらに唾液の性質もネバネバしたものに変化しやすい傾向があります。
唾液の量が減り、サラサラとした性状が失われると、食べカスやプラークが歯や歯ぐきに残りやすくなります。これにより、お口の中の細菌が増殖しやすい環境が作られ、歯周病菌が活発になる要因となるのです。また、唾液の抗菌作用が低下することで、細菌に対する抵抗力も弱まります。
このように、妊娠中の唾液の変化は、お口の中の自浄作用を低下させ、歯周病のリスクをさらに高めることにつながります。唾液が持つ本来の働きが十分に果たされなくなるため、いつも以上に丁寧な口腔ケアが求められるのです。
これって歯周病?妊娠中に見られるお口のトラブル「妊娠性歯肉炎」とは
妊娠中に歯ぐきが腫れたり、出血したりといった経験がある方は少なくないかもしれません。実は、妊婦さんの半数以上が経験すると言われているお口のトラブルが「妊娠性歯肉炎」です。これは、妊娠に伴うホルモンバランスの大きな変化が主な原因で起こる歯ぐきの炎症を指します。多くの妊婦さんに見られる一般的な症状であり、決して特別なことではありません。この症状について正しく理解することで、過度な不安を感じることなく、適切なケアへとつなげることができます。このセクションでは、妊娠性歯肉炎の具体的な症状や、万が一放置してしまった場合にどのようなリスクがあるのかについて詳しく解説していきます。
妊娠性歯肉炎の主な症状
妊娠性歯肉炎は、ご自身で気づける症状がいくつかあります。主な症状としては、まず「歯ぐきが赤く腫れる」ことが挙げられます。健康な歯ぐきは薄いピンク色をしていますが、炎症を起こすと赤みが増し、少し膨らんだように見えることがあります。次に「歯磨きの時に出血しやすくなる」というのも特徴的な症状です。通常よりもごく軽いブラッシングでも出血するようであれば、注意が必要です。
また、「歯ぐきがむずがゆい」と感じたり、進行すると「痛む」ようになることもあります。お口の中の不快感として「口臭が気になる」という方もいらっしゃるかもしれません。これらの症状は、歯周病の初期段階である歯肉炎のサインです。単なる「妊娠中の不調だから」と軽視せず、お口の健康を守る大切なサインとして受け止め、早めに歯科医師に相談するきっかけと捉えてください。
放置は危険!歯周炎への進行と「妊娠性エプーリス」
「妊娠性歯肉炎は、妊娠期間中だけのものだから」と放置してしまうと、思わぬリスクにつながる可能性があります。歯肉炎が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)まで破壊される「歯周炎」という重度の状態に移行してしまう危険性があるのです。歯周炎にまで進行してしまうと、歯がグラグラしたり、最終的には歯を失うことにもつながりかねません。特に妊娠中は、歯周病の進行が速まりやすい傾向があるため、注意が必要です。
さらに、妊娠中の特徴的な症状として「妊娠性エプーリス」が挙げられます。これは、歯ぐきの一部がコブのように盛り上がる良性の腫瘍で、妊娠性歯肉炎が悪化することで発生しやすくなると言われています。通常は痛みがないことが多く、出産後に自然に小さくなることがほとんどです。しかし、サイズが大きくなると食事の際に邪魔になったり、噛んでしまったりして出血や痛みを伴うこともあります。
このような場合、切除が必要になることもありますが、基本的には妊娠中でも局所麻酔を使用して安全に切除できることが多いです。いずれにしても、これらの症状を自己判断で済ませず、必ず歯科医師の診断を受け、適切な処置やアドバイスを受けることが非常に重要です。
妊娠中の歯周病が赤ちゃんに与える深刻な影響
妊娠中の口腔トラブルは、お母さんの不快感だけでなく、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性があるため、とても重要です。歯周病が進行すると、早産や低体重児出産といった、赤ちゃんにとって深刻な事態につながることも少なくありません。ここでは、妊娠中の歯周病がなぜお母さんだけでなく、赤ちゃんにも関わる大切な問題なのかを、医学的な根拠に基づいて詳しくご説明します。ご自身の口腔ケアへの意識をさらに高め、赤ちゃんの健やかな成長を守るためにも、ぜひこの情報を参考にしてください。
早産・低体重児出産のリスクが高まる
妊娠中の歯周病がもたらす最も深刻なリスクの一つに、「早産」や「低体重児出産」の可能性が高まることが挙げられます。さまざまな研究報告から、歯周病にかかっている妊婦さんは、そうでない妊婦さんに比べて、早産や低体重児出産のリスクが数倍、場合によっては最大で7倍も高まることが示されています。
この数値は、タバコやアルコールの摂取といった一般的な早産の危険因子と比較しても同等、あるいはそれ以上に高いリスクを示しており、歯周病の重大性を物語っています。歯周病はお母さんのお口の中だけの問題にとどまらず、赤ちゃんが元気に生まれてこられるかどうかにも直結する、非常に重要な健康問題なのです。
歯周病菌が血流を通じて胎盤に影響するメカニズム
では、なぜお口の中の歯周病が、お腹の赤ちゃんの早産や低体重児出産につながるのでしょうか。そのメカニズムをご説明します。歯周病が進行すると、歯ぐきは炎症を起こし、毛細血管が増えて非常にもろくなります。この炎症した歯ぐきの血管から、歯周病菌そのものや、歯周病菌が作り出す毒素が血流の中に入り込んでしまいます。
血流に乗って全身を巡った歯周病菌やその毒素が子宮に到達すると、体内でプロスタグランジンなどの炎症を引き起こす物質が過剰に作られることがあります。このプロスタグランジンは、子宮の収縮を誘発する作用があるため、早期の子宮収縮が起こり、結果として早産につながってしまう可能性があるのです。このように、お口の中のトラブルが全身、特にお腹の赤ちゃんにまで影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中の適切な口腔ケアは非常に大切になります。
妊婦さんが今日からできる!歯周病の予防とセルフケア方法
妊娠中に歯周病のリスクが高まることをご説明しましたが、不安を感じる必要はありません。ご自宅でできるセルフケアと、歯科医院での専門的なケアを組み合わせることで、歯周病は予防・改善できます。このセクションでは、今日から実践できる具体的な予防法やセルフケアのポイントをご紹介します。赤ちゃんのことを想う気持ちと同じくらい、ご自身の口腔ケアにも目を向けて、健康なマタニティライフを送りましょう。
基本は毎日の丁寧な歯磨き
口腔ケアの基本は何といっても毎日の歯磨きです。特に妊娠中はホルモンの影響で歯ぐきがデリケートになり、炎症を起こしやすいため、より丁寧な歯磨きが求められます。歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先を45度の角度で当て、軽い力で小刻みに動かす「バス法」は、歯周ポケットに入り込んだプラーク(歯垢)を効率よくかき出すのに効果的です。力を入れすぎると歯ぐきを傷つけてしまうため、優しく、しかし確実に汚れを取り除くことを意識してください。
また、妊娠中は歯ぐきが腫れたり出血しやすくなったりすることが多いため、毛先の柔らかい歯ブラシを選ぶと良いでしょう。無理なく、心地よく磨ける道具を選ぶことも、毎日のケアを続ける上で大切なポイントです。
歯間ブラシやデンタルフロスを併用する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に落とすことはできません。実は、歯周病の原因となるプラークの約6割は歯と歯の隙間に蓄積すると言われています。この歯ブラシが届きにくい部分の汚れを効果的に除去するために、歯間ブラシやデンタルフロスの併用を強くおすすめします。
デンタルフロスは、歯と歯が接している部分の汚れを取り除くのに適しています。適切な長さ(約40cm)に切り、両手の中指に巻きつけ、人差し指と親指でフロスを支えながら、歯と歯の間にゆっくりと挿入し、歯の面に沿わせるように数回動かして汚れをかき出します。歯間ブラシは、歯と歯の間の隙間が大きい部分や、ブリッジなどの補綴物がある場合に有効です。ご自身の歯間の広さに合ったサイズの歯間ブラシを選び、無理なく使えるものを使用しましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを毎日のケアに加えることで、歯周病予防の効果を格段に高めることができます。
つわりが辛い時の口腔ケアの工夫
つわりで吐き気がある時や体調が優れない時は、歯磨きがおっくうになりがちです。しかし、そんな時こそ口腔ケアの工夫が重要になります。無理のない範囲でできることを実践しましょう。
例えば、体調の良い時間帯を選んで歯磨きをする、歯ブラシを口に入れるのが辛い場合はヘッドが小さいものや、やわらかい毛先の歯ブラシに変えてみるのがおすすめです。歯磨き粉の匂いが不快に感じる場合は、香りの少ないタイプを選ぶか、いっそ水だけで磨いてみても良いでしょう。吐き気の後に口の中が酸っぱく感じる場合は、水でうがいをするだけでも口内環境の悪化を防げます。フッ素入りの洗口液を使用することも有効です。
また、キシリトール配合のガムやタブレットは、唾液の分泌を促し、虫歯菌の活動を抑える効果が期待できます。これらを活用するのも良い方法です。完璧を目指すのではなく、できる範囲で継続することが大切です。つらい時は無理せず、自分に合った方法を見つけてみてください。
バランスの取れた食生活を心がける
歯周病の予防には、毎日の食生活も大きく関わっています。歯ぐきや歯を健康に保つためには、ビタミンC、ビタミンD、カルシウムなどの栄養素をバランス良く摂取することが重要です。特にビタミンCはコラーゲンの生成を助け、歯ぐきの健康維持に欠かせません。野菜や果物を積極的に摂り入れるようにしましょう。
また、甘いものや酸っぱいものを好む「食べづわり」の場合、食事の回数が増えたり、口の中が酸性に傾きやすくなったりすることで、虫歯や歯周病のリスクが高まります。おやつを食べる際は時間を決めてだらだら食べ続けることを避け、食後は可能であれば歯磨きをするか、うがいをする習慣をつけましょう。水分をこまめに摂ることも、口の中を洗い流し、乾燥を防ぐ上で効果的です。
妊娠中の歯科治療は受けても大丈夫?安全性と受診のタイミング
妊娠中に歯ぐきの腫れや出血といったお口のトラブルを感じながらも、「赤ちゃんへの影響が心配で、歯医者さんに行くのは控えている」という妊婦さんは少なくありません。しかし、適切な時期と方法を選べば、妊娠中でも歯科治療を安全に受けることができます。このセクションでは、多くの妊婦さんが抱える治療への不安を解消し、自己判断で受診をためらうことのリスクを避けるための具体的な情報をお伝えします。いつ、どのような治療が安全に受けられるのか、そして歯科医師に伝えるべき大切なことについて、詳しく見ていきましょう。
歯科受診のベストタイミングは安定期(妊娠中期)
妊娠中の歯科治療は、母体と胎児の安全を最優先に考慮して時期を選ぶことが非常に大切です。一般的に、歯科治療に最も適しているのは、つわりが落ち着き、体調が比較的安定する「安定期」と呼ばれる妊娠中期(妊娠16週頃から27週頃まで)です。
この時期は、妊娠初期に比べて流産のリスクが低く、後期に比べて早産のリスクも少ないため、安心して治療を受けやすいとされています。妊婦さん自身の精神的な負担も軽減され、治療に集中しやすいというメリットもあります。妊娠初期は、つわりで体調が不安定な上、胎児の重要な器官が形成されるデリケートな時期であるため、原則として応急処置に留めるのが一般的です。また、妊娠後期になると、お腹が大きくなることで診療台での体勢が辛くなったり、早産のリスクが再び高まるため、治療は出産後まで延期することが多くなります。そのため、妊娠中期に計画的に歯科受診を済ませておくことが、母子の健康を守る上で非常に重要となります。
妊婦歯科検診を積極的に活用しよう
妊娠期間中は、お口のトラブルが増えやすい時期であるため、ぜひ多くの自治体で実施されている「妊婦歯科健康診査」を積極的に活用しましょう。この検診は、妊娠中のお口の状態を専門家である歯科医師がチェックし、歯周病や虫歯のリスクを早期に発見するための大切な機会です。
費用負担が少ない、あるいは無料で受けられる自治体も多いため、経済的な負担を心配することなく受診できます。検診では、現在の口腔状態の確認はもちろんのこと、妊娠中でも安心できる歯磨き指導や食生活のアドバイスなど、具体的なセルフケア方法についても指導してもらえます。母子健康手帳を受け取った際には、お住まいの自治体でどのような妊婦歯科検診が受けられるのかを確認し、体調の良い時期を見計らって早めに予約することをおすすめします。妊娠中の定期的なチェックは、お母さん自身の健康維持だけでなく、生まれてくる赤ちゃんへの影響を最小限に抑えるためにも非常に重要です。
レントゲン・麻酔・薬は安全?歯科医師に必ず伝えるべきこと
妊娠中の歯科治療で、レントゲンや麻酔、薬の使用について不安を感じる方は少なくありません。しかし、現在の歯科医療では、これらを安全に活用するための配慮がされています。
まずレントゲン撮影についてですが、歯科用のレントゲンは医科用と比較して放射線量がごく微量です。さらに、撮影の際には防護エプロンを着用することで、お腹の赤ちゃんに放射線が到達するのを防ぎます。そのため、赤ちゃんへの影響はほとんどないと考えられています。次に麻酔ですが、虫歯治療や抜歯などで一般的に使用される局所麻酔は、胎盤を通過しにくく、通常の使用量であれば母子ともに安全性が高いとされています。痛みを感じないことで、治療中の母体のストレスを軽減できるというメリットもあります。
そして薬については、妊婦さんでも比較的安全に使用できる抗生物質や鎮痛剤があります。ただし、どのような薬を、どのような量で使用するかは、歯科医師が慎重に判断します。
最も重要なことは、歯科医院を受診する際に「妊娠していること」と「現在の妊娠週数」を必ず歯科医師に伝えることです。この情報があることで、歯科医師は妊婦さんの体調や胎児の成長段階を考慮し、最も安全で適切な治療計画を立てることができます。自己判断で我慢せず、必ず専門家に相談するようにしましょう。
妊娠中でも安全に受けられる治療と避けるべき治療
妊娠中に必要となる歯科治療は、その緊急性や内容によって、安全に受けられるものと、出産後まで待つことが望ましいものに分けられます。緊急性の高い治療や、口腔内の状態が悪化することで全身に影響を及ぼす可能性のある治療は、安定期に行うことが推奨されます。
具体的には、歯周病の進行を抑えるための「歯のクリーニング(歯石除去)」、痛みや感染源となる「虫歯治療(詰め物)」、軽度の「歯周病治療」などは、妊娠中でも比較的安全に受けられる治療です。抜歯についても、安定期であれば、局所麻酔を使用して安全に行われる場合があります。これらの治療は、母体の全身の健康を守るためにも重要です。
一方で、緊急性のない美容的な治療、例えば「ホワイトニング」や、「インプラントなどの外科手術」は、原則として出産後に延期することが推奨されます。これらは侵襲性があり、必ずしも妊娠中に必要ではないため、出産後の体調が完全に回復してから行うのが安全です。どのような治療が必要か、そしてそれが妊娠中に受けられるのかは、ご自身の判断ではなく、必ずかかりつけの歯科医師に相談して判断してもらいましょう。安心してマタニティライフを送るためにも、歯科医師との連携が不可欠です。
出産後も大切!ママと赤ちゃんのための口腔ケア
妊娠中の口腔ケアの重要性について理解を深めていただいたところで、出産後もまた、お口の健康が非常に大切であることをお伝えします。育児が始まると、ご自身のケアはつい後回しになりがちですが、お母さんの口腔環境は、生まれたばかりの赤ちゃんの健康にも直結するものです。妊娠中に得た知識や、身につけたお口のケア習慣を、ぜひ産後も継続して実践していきましょう。
このセクションでは、産後のホルモンバランスの変化が口腔内に与える影響や、赤ちゃんを虫歯菌・歯周病菌から守るために家族でできることについて具体的に解説します。お母さん自身の健康はもちろんのこと、大切な赤ちゃんを守るためにも、産後の口腔ケアがいかに重要であるかを理解し、ご家族皆さんで取り組んでいくきっかけにしてください。
産後のホルモンバランスと口腔ケアの重要性
出産を終えると、妊娠中に大きく変動していた女性ホルモンのバランスは徐々に元の状態へと戻っていきます。しかし、すぐに安定するというわけではありません。産後も数ヶ月間はホルモンバランスが不安定な状態が続くことがあり、それに伴って歯ぐきの状態も元に戻るまでには時間がかかる場合があります。妊娠中に経験した歯ぐきの腫れや出血といった症状が、産後もしばらく続くことも珍しくありません。
また、出産後は慣れない育児による生活リズムの変化、睡眠不足、疲労、ストレスなどが重なりやすく、これらがお口の環境に悪影響を及ぼすことがあります。免疫力の低下や唾液の減少などにつながり、再び歯周病や虫歯のリスクが高まる可能性も考えられます。そのため、妊娠中に歯科治療が完了しなかった場合は、体調が落ち着いた適切な時期に治療を再開することが非常に重要です。そして、何よりも定期的な歯科検診を継続し、プロの目によるチェックとクリーニングを受けることを強くおすすめします。
赤ちゃんへの歯周病菌感染を防ぐために家族でできること
生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯菌も歯周病菌もほとんど存在しないことをご存知でしょうか。これらの菌は、主に両親や同居する家族など、周囲の大人の唾液を介して赤ちゃんに感染することがわかっています。これを「母子感染」と呼び、決して母親からだけでなく、父親や祖父母など、赤ちゃんに接するすべての人からの感染リスクがあります。
具体的な感染経路としては、赤ちゃんと同じスプーンや食器を共有すること、熱い食べ物を冷ますために大人が噛んで与えること、愛情表現として頬や口にキスをすることなどが挙げられます。赤ちゃんを虫歯菌や歯周病菌から守るためには、お母さん自身だけでなく、お父さんや同居するご家族全員が日頃から徹底した口腔ケアを行い、お口の中を清潔に保つことが非常に重要です。
ご家族皆さんで定期的に歯科検診を受け、必要であれば治療を行い、お口の中を健康な状態に保つこと。そして、赤ちゃんと接する際には、清潔な手で触れ、唾液が直接触れるような行為は避けるといった配慮を心がけることで、大切な赤ちゃんを虫歯や歯周病のリスクから守ることができます。家族一丸となって、赤ちゃんの健やかな成長をサポートしていきましょう。
まとめ:正しい知識で不安を解消し、ママと赤ちゃんの健康を守ろう
妊娠という特別な期間は、お母さんの身体にさまざまな変化をもたらします。特に、お口の中ではホルモンバランスの変化やつわり、唾液量の減少などにより、歯ぐきの腫れや出血といった歯周病のリスクが高まります。
この歯周病は、単にお口の中だけの問題に留まらず、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性があることが近年の研究で明らかになっています。特に懸念されるのは、早産や低体重児出産のリスクが高まることです。これは、歯周病菌やその毒素が血流を通じて全身に広がり、子宮の収縮を誘発する物質の産生を促すためと考えられています。
しかし、ご安心ください。適切な知識と日々の丁寧なセルフケア、そして歯科医院での専門的なケアによって、妊娠中の歯周病は予防・治療が十分に可能です。毎日の歯磨きやデンタルフロスの活用はもちろん、つわりが辛い時期の工夫、バランスの取れた食生活も大切です。そして、何よりも重要なのは、妊娠中でも安全に歯科治療を受けられるという正しい情報を知り、安定期などを利用して積極的に歯科検診や治療を受けることです。
「赤ちゃんのために何かできることをしたい」というお気持ちは、すべてのお母さんが持っている大切な願いです。口腔ケアも、その願いを叶えるための一つ行動と捉えていただければ幸いです。不安に感じることは決して一人で抱え込まず、かかりつけの産婦人科医や歯科医師に相談し、正しい知識のもとでママと赤ちゃんの健康を守っていきましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
東京歯科大学卒業後、千代田区の帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科・新有楽町ビル歯科に入職。
その後、小野瀬歯科医院を引き継ぎ、新宿オークタワー歯科クリニック開院し現在に至ります。
また、毎月医療情報を提供する歯科新聞を発行しています。
【所属】
・日本放射線学会 歯科エックス線優良医
・JAID 常務理事
・P.G.Iクラブ会員
・日本歯科放射線学会 歯科エックス線優良医
・日本口腔インプラント学会 会員
・日本歯周病学会 会員
・ICOI(国際インプラント学会)アジアエリア役員 認定医、指導医(ディプロマ)
・インディアナ大学 客員教授
・IMS社VividWhiteホワイトニング 認定医
・日本大学大学院歯学研究科口腔生理学 在籍
【略歴】
・東京歯科大学 卒業
・帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科
・新有楽町ビル歯科
・小野瀬歯科医院 継承
・新宿オークタワー歯科クリニック 開院
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『新宿オークタワー歯科クリニック』
住所:東京都新宿区西新宿6丁目8−1 新宿オークタワーA 203
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